吉田成研究室  |東京工芸大学芸術学部写真学科|

写真表現・写真史・画像保存を研究する吉田成研究室。

<< 略歴 | main | 写真の黎明期 >>
写真画像の保存
はじめに
 皆さんは、近年、写真の保存や修復についての関心が高まっていることをご存知ですか?
現在、写真が発明されてから約 170年の歳月が流れ、その間に写真の技術は飛躍的に進歩し、写真は今、ごくあたりまえのものとして日常生活に溶け込んでいます。
またコンピューターの進歩に伴い、画像の世界も、これまでの銀塩写真に加えて、デジタル画像が実用の段階に入ってきました。こうした科学技術の進歩は、コンピューターによるデジタル画像処理を可能にし、遠く離れた場所との画像情報の交換を可能にしました。
このように手軽にホームページを見ることができるのもそのお陰です。
1,どうして今、写真の保存が大事なのでしょうか?
 かれこれ20年近くになるでしょうか、日本においても「写真の保存・修復」に対する関心が高まっています。こうした傾向にはさまざまなな理由が考えられますが、その一つに、写真美術館が設立されたり、写真を収集・保存する博物館などが増加していることが挙げられると思います。
 また昨今、いわゆる「古写真」に関心が寄せられていることも、その理由の一つとして見逃せません。ここ10数年の間に、幕末・明治期に撮影された写真を集めた写真集などが、大手の出版社から相次いで出版されたり、古写真展なども盛んに企画・開催され、多くの人々の関心を集めるようになりました。
 また、1999年4月、鹿児島市にある尚古集成館所蔵の銀板写真「島津斉彬像」が写真としては初めて、国の重要文化財に指定されました。これらのことは、写真が貴重な歴史資料として重視されるようになったことを示す一つの表れといえるでしょう。
 しかし貴重な写真資料の多くが、程度の差こそあれ、すでに劣化しはじめています。この現実を前にして、私たちは、写真を保存することの大切さを再認識したといえるのです。


2,写真の保存に関する先進国は?
 アメリカでは写真を集めたり保存したりといった分野に関し、日本と比べて長い歴史を持っています。スミソニアン博物館や議会図書館、国立公文書館などには、南北戦争以来の歴史的記録写真が膨大に保存されており、古くから写真を歴史資料として大切にしようとしていました。
 またメトロポリタン美術館では、1920年代に芸術作品としての写真の収集をはじめています。しかし、写真の保存の先進国アメリカにおいても、本格的に写真の保存・修復に取り組むようになったのは、それほど古いことではありません。アメリカで初めてフォトグラフィック・コンサヴェター(写真の保存・修復・管理に関する専門家)のポストが設けられたのは、ニューヨーク州ロチェスター市にあるジョージ・イーストマン・ハウス国際写真博物館というところで、1970年代初頭のことでした。その後、写真のコンサヴェターの数は次第に増え、現在では、スミソニアン博物館やメトロポリタン美術館をはじめ、博物館や図書館、文書館、大学などには、写真の保存・修復を担当する部署が設けられ、写真専門のコンサヴェターが配置されるようになってきています。
 個人的な話で恐縮ですが、私は10年ほど前に文化庁派遣芸術家在外研修員として渡米し、ジョージ・イーストマン・ハウス国際写真博物館において「写真の保存・修復」をテーマに約1年間研修する機会が与えられましたた。この間に、ボストン、ワシントンDC、シカゴ、デラウェアなどに出張し、博物館や図書館、大学等のコンサヴェーション関係施設を見学しましたが、その設備の素晴らしさと、そこで働くスタッフのレベルの高さに驚かされました。


3,貴重な写真を残すことは,私たちの使命
 19世紀の前半に発明された写真は、今ではすっかり日常生活にとけ込み、最近は新しい技術として、ディジタル画像が普及してきています。その意味で、20世紀は「写真の時代」であったともいえるかもしれません。21世紀を迎えた今、19〜20世紀にかけて蓄積された貴重な記録、文化、芸術としての写真を後生に残すことは、私達の使命といえるでしょう。
| 吉田 成 | 画像保存 | 00:47 | - | - |
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
<< November 2017 >>

このページの先頭へ