吉田成研究室  |東京工芸大学芸術学部写真学科|

写真表現・写真史・画像保存を研究する吉田成研究室。

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古写真研究って何?
百の言葉よりも一枚の写真が多くのことを雄弁に語ってくれることがあります。激動の時代を駆け抜けた幕末の志士の肖像や群像、百年以上も昔の風景、歴史上重大な意味のある事件、庶民の生活や風俗等を写した写真、これら一枚一枚の 写真は、言葉では語り尽くせない真実味をもって私たちに多くのことを語りかけてくれます。そして、これらの資料写真は歴史学をはじめとする種々の学術資料として極めて貴重なものとなっていいす。
近年、いわゆる「古写真」に関心が寄せられています。ここ数年の間に、幕末・明治期に撮影された写真を集めた写真集が、大手の出版社から相次いで出版されたり、古写真展等が開催されるようになりました。1995年度には、長崎大学、京都大学、名古屋大学、東北大学、そして東京大学の、各大学図書館が協力して、国立大学図書館協議会公開事業として、「幕末・明治期古写真等資料展〜忘れられた日本の風景・風俗〜」と題する展覧会を開催し、多くの人々の関心を集めました。このような、昨今の古写真に対する関心の高まりには、様々な理由が考えられますが、その最も大きなものとして、写真が貴重な歴史資料として重視されるようになってきたことを挙げることができるでしょう。
 
ところで、古写真研究とは一体どんな研究でしょうか?その文字・言葉から、古い写真を研究対象にしていることは容易に想像することができるでしょう。それでは、どれくらい古くなれば「古写真」と呼ばれるのでしょうか?これまで古写真という言葉に、はっきりした定義を与えられた形跡はないようです。しかし、近年出版された写真集・写真展等のタイトルに、度々「幕末・明治期古写真・・・」という言葉が見受けられることから、一般に日本における「古写真」とは、写真の渡来から明治時代までに制作された写真を意味していることが多いように推測されます。でも、こうした区切り方は、あくまで便宜的な区切り方として使われているのだと思います。写真史・写真技術史の立場から考えれば、このような便宜的な時代区分とは別に、例えば、乾板写真の輸入以前と以後等といった時代区分が考えられると思います。と言うのは、写真表現は、カメラという道具の発達と感光材料の発達とが密接に関係しているからです。写真史においては、撮影機材と感光材料、そして写真表現の三者は三つ巴の形で発達してきています。例えば、感度が高い感光材料の開発は、より高速度で切れるシャッターを要求し、より高速度で切れるシャッターの発明は、より高感度の感光材料を要求するように・・・そして、写真家の際限のない要求が、写真機材と感光材料の発達を促進し、また逆に機材と感光材料の発達は、写真家に新しい試みを要求してきました。このように考えると、乾板写真の導入により、瞬間の映像が固定できるようになる等、写真表現が、がらりと変わっただけではなく、野外撮影に暗室を携帯する必要がなくなる等、写真撮影が随分と楽になりました。そしてそのことにより、写真の歴史は大きく変わっていたのです。
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