吉田成研究室  |東京工芸大学芸術学部写真学科|

写真表現・写真史・画像保存を研究する吉田成研究室。

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これからの写真−3−
写真は、今、面白くなってきた

2006年の幕開けと共に、写真業界に大きな変化が起きている。国産大手のカメラ メーカーが、フィルム カメラから大幅に撤退することを表明した。写真の世界は、今、アナログからデジタルへ急速に変化している。
1月21日付けの朝日新聞の「天声人語」でも、この問題を取り上げた。長く写真の仕事に携わってきた私としては、身を切られるような思いで、現状を見守っている。果たして、これで写真は終わってしまうのだろうか?私は、“写真文化”というものを終わらせてはならないと思う。その点、「銀塩写真から撤退しない」と表明している大手メーカーがあることは心強い。銀塩かデジタルかとう問題は、表現手段の問題かもしれない。しかし、単なる手段とうだけでもない。銀塩写真のプロセス自体が写真文化でもあると私は思う。そんなことを考えながら、私の研究室では、手作りによる古典印画技法の研究にも取り組んでいる。矛盾するようだが、私はデジタル写真も否定しない。写真表現は、技術の発達と密接に関係している。デジタル技術の発達と共に、写真表現にも新たな展開が期待できる。最も大切なことは、“何を記録するのか”あるいは“何を表現するのか”ということではないだろうか?こうした目や心を育てるために、私達は多くのことを学び、経験し、感性を育て、精神を豊かにすることが必要だと思う。
昨年の秋、私はアメリカに出張し、写真学科を持つ大学を訪問した。その際に強く印象に残ったのは、アメリカの若者の写真への関心が、今も従来と変わらず高いということである。数多くの学生が大学で写真を学び、教員と学生とが一緒になって切磋琢磨している。またフォト ギャラリーを見て廻った折には、デジタル技術を駆使した新たな表現と、銀塩による美しいモノクロ プリントの両方を目にした。
近頃、「写真の力」という言葉をしばしば耳にする。写真のさまざまな利用方法が盛んに研究されている。デジタル技術が台頭してきた今、これまで分からなかった“写真の本質”が見えてきたような気もする。写真は、大きな変化の時期を迎えている。ある意味で、写真の世界は、動乱期にあるということが出来るかもしれない。しかし、若者にとって動乱期こそチャンス。そして写真は、今、面白くなってきた。
| 吉田 成 | DAYS | 13:31 | comments(1) | - |
コメント
「デジタル/フィルム写真の今後について」-デジタルカメラが急速に普及し始めた頃、写真業界で良く話題になった題目でした。当時学生だった私もいくつかのレポートを書いた記憶があります。つい1年ちょっと前の事なのですが。

「デジタル一眼レフが10万円以下」になって「フィルムと同等の品質」が実現すれば、デジタルカメラが主流になるだろうとは、誰もが声高に予想していた事でした。けれども、その価格帯の「フィルムカメラがどうなるのか」という事までは誰も結びつけていなかった気がします。(答えは撤退でした)

まして、当時の心配事はもっぱら将来的な「感材」の心配であり、フィルムカメラそれ自体の存在がなくなるということはまでは、ニコンとコニカミノルタの発表の直前までは、なんとなく絵空事のような事としてやんわりと黙認されていたのだと思います。

しかし、経済学者のJ・A・シュンペーターが唱えた「創造的破壊」(資本主義社会の特質は、企業は革新し、既存の秩序を破壊して新しいものを作り上げていく。創造と破壊を繰り返していかなければ、資本主義は成立しない)の意味することがズバリ、写真業界にも起きていたのですね。写真に対する理念や精神ではなく、社会が経済活動としてデジタル写真(デジタル関連機器に含まれる)が必要と認知された事で、「フィルムカメラはなくならない」という暗黙の認識の一角は、見事に崩された気がします。

作品において、やはりデジタルは危険だと思います。自分の「失敗した」カットを時間を掛けて、あるいは繰り返し観察する機会を、デジタルは奪ったからです。
自分の写真を見直す作業がいかに大切な事か、実はまだあまり認知されていないのでしょうか。時間をかければ良いというものではないですけれども、時間をかける努力は必要です。今後のデジタル作品が、ファイル名で扱われるような、薄っぺらなモノにならない事を願いたいですね。私自身含めてですが。

| ナカジマヒロト | 2006/01/24 2:04 AM |
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